萌鉄'98 パート4
 「乗っても乗っても701系」

701系


 3月29日、弘前にいた。

中央弘前駅 弘前駅から歩くこと20分、弘南鉄道の中央弘前駅へ来た。ここからは弘南鉄道大鰐線が出ているのだが、弘前駅とはかなり離れ、しかも、他に接続している路線もない孤立駅だ。しかも、なんだか下町の銭湯のようなたたずまいで、弘前駅方面からだと線路も見えないので、注意していないと見逃してしまうかもしれないほどだ。周りも下町風のところで、アンティークな教会があったのが印象深い。さて、ここからは大鰐線に乗る。

 

 

 

 


大鰐線 弘南鉄道大鰐線(おおわにせん)。中央弘前と大鰐を結ぶ路線で、中央弘前駅は完全な独立駅、大鰐駅はJR奥羽本線の大鰐温泉駅と接続している。

 中央弘前駅は、住宅と川(下町のドブ川?)に挟まれたところにあり、かなり狭い。ホームも1面で、線路も1本だ。

 2両編成の電車に乗り込むが、日曜の朝なのからか、乗客は10人程度しかいない。しばらくして発車する。

 中央弘前を出ると、しばらくは右手にドブ川、左手は民家の軒先といったような、下町の路地裏のような狭いところを電車がゆっくり走る。なんか、勝手口もあったりしちゃって、すごく楽しい。

大鰐駅 しばらく行くと、田園風景になり、のどかになる。奥羽本線の線路が近づいてきて、風が吹いたらポキンって折れてしまいそうな弱々しい跨線橋で奥羽本線を越え、しばらく併走すると終点の大鰐だ。この間30分。

 弘南鉄道は大鰐、JRは大鰐温泉と、駅の名前が違うが、弘前と同様、共同使用駅(構内が繋がっている駅)だ。

 

 

 

 


 大鰐温泉からは奥羽本線に乗り換える。やってきた列車は最新鋭通勤型交流電車701系。まあ、いわゆる211系の交流版のようなものなので、最初はめずらしかったがすぐにどうでもよくなった。この電車は大館行きなので、とりあえず大館まで行く。

 大館に着く。で・・・、ない。電車がない。次の電車まで1時間以上もある。このあたりは特急を合わせても1〜2時間に1本しかない。

 ここで朝食を取り(このへんは計画的なのだが)、次に来る秋田行きに乗る。しかし、満員だ。この電車は大館始発なのに満員。大館駅の待合室も混んでいて、需要はあるのにこんなダイヤになっているのはいささか疑問が残る。

 しかも、701系はオールロングシートで長時間乗るのには向いていない。おまけに、車体が軽く、線形もあまり良くないのか、けっこう揺れる。そのかわりスピードは速いのだが、乗り心地はまあ、最低と言ってしまって間違いないだろう。

追分駅 そんなすし詰め状態で1時間半、逃げるようにして男鹿線の分岐駅である追分で降りる。

 

 

 

 

 

 


 男鹿線(おがせん)。奥羽本線の追分(おいわけ)と男鹿を結ぶ短い盲腸線。当然非電化で、やって来た列車はキハ40。ずっしり重くて揺れが少なく、クロスシートで乗り心地も抜群(いや、全然良くないんだけど、701系と比較したらネ)で生き返った気持ち。

男鹿駅 男鹿線はなんか林ばかりだ。とにかく林の中を走る。そんなに開けてもいないし、かと言って山ん中でもない。そんなところを、6両編成でガラガラの列車は40分程度で終点の男鹿に着いた。すぐに3両が切り離され、折り返し秋田行きとなって発車していった。それには乗らず、30分後の列車に乗ろう。

 30分ではあまり探索することもできないが、男鹿駅から先は、なんか貨物線が延びているので、その沿線をブラブラして時間を潰す。

 で、また列車に乗って男鹿線を折り返す。3両編成だが、やっぱりガラガラだ。

 

 秋田に着いた。ここで安らぎのキハ40を降り、再び怒涛の701系に乗り込み、ここからは羽越本線へ入る。


 羽越本線(うえつほんせん)、秋田と新津(にいつ)を結ぶ路線。やはり701系は満員。またまたこの電車で50分ほど走る。

 で、途中、羽後本荘に到着。ここは由利高原鉄道との接続駅だ。


おばこ号と701系 由利高原鉄道(ゆりこうげんてつどう)。羽越本線の羽後本荘(うごほんじょう)と矢島(やしま)を結ぶ短い盲腸線。昔は国鉄の矢島線だった路線で、矢島線が国鉄赤字83線の1路線として廃止された後、第3セクター鉄道としてよみがえった。路線名は鳥海山ろく線(ちょうかいさんろくせん)という。

 車両はレールバスで、名を「おばこ号」というらしい。それにしても遅い。ボロボロのレールの上をレールバスがゆっくりゆっくり走る。わずか23キロの路線を40分もかけて走る。

 で、由利高原鉄道のほとんどの駅に国鉄時代からと思われる古い駅舎が残っており、超萌え。30〜40年ほど前にタイムトリップしたかのようだ。時間があれば駅舎ウォッチングでもしたいところだが、実に惜しい。

 由利高原鉄道は、ほとんどの部分が田園風景の片田舎のようなところを通る。ほんと、「のどか」という言葉がよく似合う。たしかに山岳というよりは高原だ。そんなところをゆっくり走るが、終点矢島のいっこ手前、川辺(かわべ)を過ぎたあたりからは少しだけ山岳っぽくなる。ぽくなったかな、というところで矢島に到着。

矢島駅 矢島駅周辺はそれなりに開発されており、小さな商店街のようなところもあり、それなりに賑わっている。矢島駅はけっこう改装されてはいるが、国鉄時代の面影の残った懐かしい感じがする駅。時間がゆっくり流れているようだ。

 1時間ほどして、再びレールバスに乗り込む。1両編成ではあるが、行きも帰りもそれなりに乗客はいた。席は全て埋まり、立っている人もちらほら。矢島のすぐ次の駅、川辺でたくさんの人が降りる。たった一区間だが、さっきも書いたようにここで山を越えるからだろうか。川辺からは各駅で少しずつ乗客が入れ替わった程度で、ほとんどの人が羽後本荘まで行くようだ。矢島〜川辺間以外はそれなりに開発されているからその区間で利用する人は少ないのかも。

 


 さて、羽後本荘からは再び羽越本線の電車に乗る。やはりやって来たのは701系で、酒田行きだ。で、やはり満員。羽後本荘から酒田までは1時間かかる。ひょえぇぇ。

 時刻は18時半頃、羽越本線はずっと日本海海岸の近くを走っているハズなのだが、地形の関係か、今まで日本海が見えなかった。ここに来てようやく姿を現した日本海。夕暮れ時、すし詰め電車の中のひとときの安らぎか。

 で、ようやく酒田に着く。ただの中間駅なので、列車を乗り換え、再び羽越本線を進まねばならない。次の列車まで1時間あるので、飯でも食って待つ。するとやってきたのはキハ40だった。なに?ここは完全な電化路線なのでてっきり701系が来ると思って覚悟していたのだが、なんてラッキー。喜んで村上行きのキハ40に乗り込む。

 キハ40が走る。気が付くと、乗客の多くが大きな荷物を抱えた人たちだった。この列車は村上から新宿へ行く夜行列車「ムーンライトえちご」に接続する列車。みんなお仲間なのネ。


 で、約2時間、キハ40は村上に到着。

ムーンライトえちご 村上にはすでに「ムーンライトえちご」がスタンバイされていた。車両は旅人の列車165系。うーん、帰ってきたなぁ、って感じ。

 「ムーンライトえちご」に乗り込み、羽越本線から白新線に入って新潟停車。ここで向きを変えて信越本線、上越線、高崎線、東北本線と路線を渡り歩いて新宿へ向かう。

 

 

 

 

 萌鉄'98パート5へ続く。


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