萌鉄2000 パート4
「客車王国 韓国鉄道京春線」

京春線


 なんとなく韓国にいた。そんなわけで、鉄道に乗るのぢゃ!
 首都ソウル近郊で日帰りで行け、風光明媚で景色がすばらしく、旅情漂う客車列車が走る路線といえば・・・、そう、京春線だ!


京春線路線図


 ちなみに、「ソウル」は純韓国語で漢字表記が存在しない。ソウルから出る路線名にやたら「京」の字がついているが、これはソウルの旧名「京城」から来ているもの。つまり、「京釜線」は「京城」(現:ソウル)と「釜山」を結ぶ路線、「京義線」は今は分断されている(萌鉄2000パート1参照)が「京城」と「新義州」(北朝鮮)を結び、「京元線」も「京城」と「元山」(北朝鮮)を結ぶ路線。そうすると、当然、「京春線」は「京城」と「春川」を結ぶ路線となる。しかし、京春線の列車はソウルからは出ておらず、全てC凉里(チョンニャンニ)から発車する。C凉里は東京でいえば上野に相当する駅で、東海岸方面へ向かう列車の始発駅となっている。


 そんなわけで、まずはC凉里を目指す。ソウルからは地下鉄が便利。地下鉄1号線に乗ると、そのまま「C凉里(地下)駅」へ行ける。ソウルもC凉里も国鉄の駅と地下鉄の駅が分離していて、乗り換えるには一端外へ出なければならない。地上のC凉里へ直接行くためには京元線を利用するが、京元線もソウルから列車が出ておらず、京釜線との分岐駅である「龍山」(ヨンサン)が始発となっている。まことにややこしい。
 今回は地下鉄1号線で「C凉里(地下)」へ行き、歩いて地上駅へ行った。地下駅はただの地下鉄の駅で旅情もへったくれもないが、地上駅は京元線の近代化された電鉄ホームと、京春線の客車仕様の低床ホームが併設されたなんとも味わい深い駅。いいねぇ。
 列車は特急「ムグンファ号」。ディーゼル機関車牽引の客車列車だ!

 ここでコラム、「客車」とは。
 すでに日本では客車列車が少なくなっており、あまり目にすることが無くなってしまったのでピンと来ない人が多いかも知れないが、要するに、自分では全く動くことが出来ず、機関車にひっぱってもらって初めて走れる車両のことである。ちなみに、電気で走る車両が「電車」。ディーゼルで走るのが「気動車」である。気動車は電車ではないのでお間違いなきよう(これを始めると長いので次へ)。


 京春線(キョンチュンソン)。C凉里と春川(チュンチョン)を結ぶ92.9kmの非電化路線。C凉里から城北(ソンボク)までは京元線が平行するが線路は別(京元線は電化されている)。ちょうど一時間に一本の列車が運行されており、毎時50分発でほぼ統一されているのでわかりやすいが、それが特急だったり鈍行だったりでまぎらわしい。ちなみに、京春線には各駅停車の列車が一日2往復しか設定されておらず、それ以外の鈍行は飛び飛びでしか停車しない。しかし、停車駅が列車によって変えられており、それぞれの駅に一日数本の列車が止まるように考慮されている。


 風光明媚な景色を楽しみながら、客車列車特有の揺れを堪能していると、突然列車が急停車した。すると車掌のアナウンスがあり、線路に人がいたから止まったらしい(この韓国語のアナウンスは聞き取ることが出来たゾ、えっへん!)。いや、ただそれだけなんだが・・・。


江村駅

 途中の江村(カンチョン)は京春線随一の観光地。ソウルから多くの人がやって来る避暑地である。駅も川と山に挟まれたところにある。ホームは1面1線。この駅で乗客の半分が降りた。
長大編成の客車列車
 山と川と鉄道・・・。うーん、絵になるねぇ。この2枚とタイトルの写真は江村駅から徒歩1分の橋から撮影したもの。


 再び京春線を下り、そんなこんなで終点の春川へ到着。するとすぐさま機関車が切り離され、編成のC凉里側へ付け替えられる「機回し」が行われた。日本でこの光景を目にすることは珍しくなってしまったが、ここでは健在。あまりにもすばらしすぎる。


春川駅

 春川の駅舎はこぶりだが利用客は多い。待合室にはテレビが置かれており、ちょっとしたものである。春川はソウル近郊の行楽地で、近くにダムがあり、ダム湖をクルージングしたり、ハイキングも出来、夜は春川名物の「タクカルビ」(鶏肉のすき焼き?)を満喫するのが定番らしい。


 韓国の鉄道には、日本の鉄道が失ってしまった懐かしいものがたくさんある。形態としては日本の鉄道によく似ており、とても親近感がある。ただ、合理化がされておらず、無駄に思える要素が随所にあったり、乗客無視の劣悪ダイヤが組まれていたりと、悪い点も昔の日本の鉄道そっくりである。個人的には、京春線は乗客も多いので、こんな特急も含めて毎時1本などというダイヤを改め、長大編成の客車を分離し、増発を行うべきである。朝と夜のラッシュ時でも30分毎というのはいただけない。10両編成の列車が満員なのである。なんとかすべきである・・・と思った。


春川駅で韓国の友人と

 萌鉄2000パート5へつづく。


戻る

萌鉄メニューへ戻る

トップページへ戻る